【第5章】文字列を扱う


 ここまでずっと数値データばかり扱ってきました。変数に代入するのもPRINT命令で画面に表示するのもすべて数値のみでした。この章では画面に数値以外の文字を表示したり、文字データを扱うことを覚えましょう。
 
[ストリングとは]


図5-1.文字を画面に表示する
図5-1.文字を画面に表示する


 まずは図5-1のように画面に文字を表示する方法です(思いっ切り筆者の趣味が入ったサンプルで申し訳ありません・・・汗)。これは、画面に何か表示するのだから PRINT命令を使うのかな、はい、そのとおりです。ではやってみましょう。プログラムはこうなるはず。では作って実行してみてください。


     PRINT C62型は国鉄で最後に作られた蒸気機関車
     END


図5-2.実行したらエラーになった
図5-2.実行したらエラーになった

 実行したらこうなってしまいました(図5-2)。では次のように直してください。実行結果は図5-1の通りになったと思います。

           PRINT "C62型は国鉄で最後に作られた蒸気機関車"
           END

 どこが違うのかわかりますか。そうです。「C62型は」の前と「機関車」の後ろに"(ダブルクォーテーションまたは引用符とよばれる)が入っています。この" "で囲まれたものを文字列とか文字リテラルストリングと呼びます。当カテゴリーでは今後ストリングといいます。プログラミング言語ではストリングもまた「式」です。ストリングであることを示す引用符はTiny BASICでは"(ダブルクォーテーション)のみです。プログラミング言語によっては'(シングルクォーテーション)が使えるものもありますが、Tiny BASICでは ' は別の意味を持つのでご注意ください。引用符は始めも終わりも " です。日本語の「 」のように始め終わりの区別がありません。
 最初の例がエラーとなった原因ですが、PRINT命令は続くオペランド(式)が数値、計算式、関数、ストリング以外のときはすべて変数とみなします。この場合だと「C62型~機関車」が" "で囲まれていないのでストリングではなく変数とみなされます。変数名は半角英数字という規則がありました(第2章)。なので「これは何?」ということでエラーになってしまったというわけです。
 では次のようなプログラムはどういう結果になるでしょうか。考えてみてください。

        PRINT 50+30
        PRINT "50+30"
        END

 結果は図5-3のようになります。1行目のPRINT命令のオペランドの内容は 50+30 の計算結果ですが、2行目は " で囲まれているため「ご、ゼロ、たす、さん、ゼロ」というストリングとみなされていることがわかります。

図5_3.
図5-3. " "で囲むと計算式とはみなされない

 ところで、大変細かいことなのですが、お気づきになったでしょうか。PRINT命令での表示のとき、ストリングは普通に(左詰めで)表示されますが、数値の場合は最上桁の左側に半角1文字分のスペースが空きます。これは本来正負を表す + 、 - の符合が入るところです。負の数の場合は - (マイナス)が表示されますが、正の数の場合、 + (プラス)は省略されます。トライアルコード(3和音)では、マイナーコードを表す小文字のmは書かれるけれど、メジャーコードを表す大文字のMは普通は省略されるというのと似ています(筆者の本業は・・・ええい、しつこい!)
図5_4.メジャーコード(左)とマイナーコード(右)
図5_4.メジャーコード(左)とマイナーコード(右)

「変数にストリングを代入する」
 
 次のプログラムを実行すると、図5_5のようになります。入力窓ではご自分の名前でも好きな人の名前でもなんでもいいので入れてください。
                          A$="さん、こんにちは"
                          INPUT B$
                          A=5
                          C$=B$+A$
                          D$=DATE$
                          PRINT C$
                          PRINT
                          PRINT "今日は";D$;"です","今日もお仕事がんばってください"
                          PRINT A
                          END
図5_5.実行結果
図5_5.実行結果

 プログラム1行目の代入文を見てください。ストリングはこのように変数に代入することもできます。ストリングを入れる変数は変数名の後ろに半角の $ (ダラー、またはドルマーク)を付けます。
 2行目にはINPUTがありますが、ストリングはキーボードから入力し、変数に代入することもできます。
 3行目ですは変数Aに数値を代入しています。変数Aは1行目ですでに使われていますが、AとA$は違う変数とみなされますので文法的にはこれで問題ありません(プログラムはわかりにくくなりますが)。

 4行目です。「えっ?文字と文字のたし算って?」と思われた方もいらっしゃると思います。これはたし算ではなく、ストリングの連結です。このサンプルの場合、A$に入っているストリングの後ろに変数B$に入っているストリングが連結されそれが変数C$に代入されます。
 5行目に出てきたDATE$は、画面に美少女が現れてデートしてくれる・・・わけではなく(冷汗)、今日の日付です(現在のパソコンは、筆者の知る限りすべての機種で内部にカレンダー・時計機能を持っています)。DATE$はコンピュータが管理している日付を引っ張り出してくる(多くのプログラミング言語のマニュアルでは「与える」という言い方をします)関数です。Windows10+Tiny BASICの場合、日付は西暦4桁/月2桁/日2桁になります。DATE$は $ が付いているので想像つくと思いますが、日付をストリングで与えますから、 $の付いた変数に代入して使うことが可能です。
 7、8行目のPRINT命令の使い方は、今までやってきたものとかなり様相が違います。PRINT命令は続くオペランドの中に式(表示するもの)が複数入っていてもよいのですが、その区切りを ; にすると続けて表示、 , にすると少し間隔を空けて表示します。またオペランドが全くないPRINTだけだと改行のみ行ないます。1行空けるときなどに使います。

 ストリングの扱い方とPRINT命令のいろいろな使い方を覚えると、見やすい画面、使いやすいプログラムが作れるようになります。次章でやってみましょう

【この章のまとめ】

画面に文字を表示するには表示したい文字を " で囲む

"  "で囲まれたものを文字列、文字リテラル、ストリングという

変数名に $ を付けた変数にはストリングが代入できる

PRINT命令で数値を表示すると最上桁の左に正負の符合が入る半角1つのスペースが空く

PRINT命令で複数の式を表示させるとき、区切りを ; にすると続けて表示、 , にすると少し間隔を空けての表示となる。オペランドが何もないと改行のみ行なう

DATE$はコンピュータが管理している日付をストリングで与える関数である

【第4章】キーボードからデータを入力するプログラム

 【コンピュータとは?】

 Tiny Basicでのプログラミングを体験してみたところで、あらためて「コンピュータってどういう機械?」ということを学びましょう。すでにわかっていらっしゃる方、とりあえずプログラミングだけやりたい、という方は今はこの節は飛ばしていただいてかまいません。これ以後を読んでいて必要があれば戻ってきてください。


図4-1.コンピュータのいろいろ
図4-1.コンピュータのいろいろ

 図4-1の上段2つは一般的にオフィスや家庭にあるデスクトップパソコン(左)とノートバソコン(右)です。下段左は銀行や役所などに設置されている大型コンピュータ、下段右は家電製品や車に部品として組み込まれているマイクロコンピュータの例です。このように一口にコンピュータといっても、大きさ、形は様々で使用目的も違います。ただどのようなコンピュータでもそのからだは図4-2のようになっています。

図4-2.コンピュータのからだ
図4-2.コンピュータを構成する各装置

 コンピュータの中心には中央処理装置Central Processing Unit、以下CPUといいます)なるものがデンと構えています(といっても大型コンピュータならともかく、今のパソコンでは小サイズの使い捨てライターより小さい部品です)。CPUの中はさらに計算を司る演算装置、コンピュータ全体の動きを制御する制御装置に分かれます。
 第2章でも出てきた主記憶装置はデータやプログラムを記憶する所です。変数に代入したデータ、プログラムモードで入力したステートメントはここに記憶されます。CPUと主記憶装置は人間でいえば頭脳に相当します。
 そして主記憶装置に記憶させるプログラムやデータを入力する装置が入力装置(パソコンならキーボードやマウスなど)、計算結果や処理結果を表示したり印字するのが出力装置(パソコンならディスプレイやプリンタなど)です。入力装置と出力装置は人間なら目、耳、口、手などにあたります。
 補助記憶装置は人間の使う物では手帳と考えてください。主記憶装置は電気的に記憶するものであり、記憶・読み出しの速度は速いものの、記憶容量はそれほど大きくはなく、また電源を切るとその記憶内容は消えてしまいます。一方補助記憶装置は記憶・読み出しの速度は遅い反面、記憶容量が大きく、電源を切っても記憶内容は永遠に残ります。前章で作ったプログラムはまず保存、といいましたが、名前を付けて保存とすると補助記憶装置に保存されます。補助記憶装置については後の章で詳しくお話します。
 図4-2中のデータの流れとは、データをどこから入力し、どこに記憶し、どのように処理加工してどこに出力するかなどでこれらはプログラムで指示できるものです。制御の流れとはコンピュータを構成する各装置が間違いなく動作するよう管理するための信号で人間の自律神経のようなものです。制御信号は通常の方法ではプログラムでコントロールできません。

【違うデータで同じ処理を行なうプログラム】

ではプログラミングに戻ります。
前章で作ったプログラムは図4-3のようになっていました。


            A=10
            B=6
            S=A*H/2
            PRINT S
            END

         図4-3.三角形の面積を求めるプログラム

 このプログラムは変数Aを底辺、Hを高さとしたときの三角形の面積Sを求めるものでした。そこでAを10、Hを6として計算したわけですが(下線部)、もしAに7、Hに4を代入すれば今度は底辺が7、高さが4の三角形の面積が求められます。異なる底辺、高さで計算したいときは代入文(下線部)を変更すればいいわけです。これでも一応変数を使う意味はあるのですが、底辺と高さの値が変わる度にプログラムを修正する必要があり少々不便です。ということで、このブログラムを使い勝手が良くなるように改造します。

[前に作ったプログラムを修正する]

 では前章で作ったプログラムを図4-4のように改造します。下線部が変更する部分です。

            INPUT A
            INPUT H
            S=A*H/2
            PRINT S
            END

          図4-4.プログラムを改造

 この程度の長さのプログラムなら始めから全部作り直してもいいのですが、今後もっと長いプログラムを作るようになったとき、あるいは一度作ったプログラムにミスがあって修正する必要が出てきたというような場合のことを考え、ここでは前章で作ったプログラムを呼び出して(パソコンに向かって「おーい、プログラム出てこーい」と叫ぶのではありません。既存のプログラムやドキュメントを開いて再利用できるようにすることです。プログラミングの世界ではほかに「関数の呼び出し」のような使われ方をします)、編集し再び保存という方法を覚えましょう。
 前に作ったプログラムを呼び出すには、編集画面から「プログラム」→「開く」と進みます(図4-5)。

図4_5.既存のプログラムを呼び出す
図4-5.既存のプログラムを呼び出す

 すると前章で作った ex1.tbt というプログラムが表示されるので、これをクリックして「開く」をクリックするか、ex1.tbt をダブルクリックします。これもWord、Excelを使ったことのある方にはおなじみの方法です(図4-6)。

図4_6.呼び出したいプログラムを選ぶ
図4-6.呼び出したいプログラムを選ぶ

 呼び出しが成功すると、ex1.tbt のプログラムが編集画面に出てきますから、最初の2行を図4-3のように修正します。カーソルを直したいところにもっていって直します。Wordやメモ帳と同じです。修正では新規作成と違って、1行修正するごとに【ENTER】を押す必要はありません(【ENTER】を押すとそこで改行します)。
図4_7.このように修正する
図4-7.このように修正する

 修正が終わったら、実行してみてもいいのかと思われそうですが、実行前に保存はプログラム修正時も同じです。今やった編集作業はあくまでコンピュータの主記憶装置の中だけで行われたことであり、保存されているプログラムが自動的に直っているわけではないからです。修正したプログラムの保存は編集画面上の「プログラム」から「上書き保存」です(図4-8)。
図4_8.修正したプログラムの保存
図4-8.修正したプログラムの保存

 保存が終わったら実行してみましょう。編集画面上部の「即実行」をクリックしてください。実行するとすぐに図4-9になると思います。これはキーボードからの入力待ちです。入力窓に15と入れて「OK」をクリックしてください。するともうひとつ入力窓が現れます(図4-10)。今度は10と入れてみましょう。「OK」を押すと実行画面に底辺15、高さ10の三角形の面積75が表示されます(図4-11)。
図4_9.修正したプログラムを実行
図4-9.修正したプログラムを実行

図4_10.キーボードからの入力待ち
図4-10.キーボードからの入力待ち

図4_11.実行結果
図4-11.実行結果


[データをキーボードから入力する]

 このプログラムを実行すると途中でオペレータ(コンピュータを操作している人とお考えください)がキーボードからデータを入力するのを待つために一時停止します。INPUTはキーボードから入力された内容を、後に続く変数に読み込む(代入)する命令です。そしてこれが実行されるとプログラムはキーボードから何かデータが入ってくるまで実行をいったん停止します。

 INPUT命令を使う最大の利点は、異なるデータで同じ処理を行いたい場合、いちいちプログラムを書き換えないで済むことです。現段階ではまだこのありがたみは実感できないと思いますが、この後に出てくるサンプルプログラムを見ていただければ「なるほどな」と納得していただけると思います。

[順次処理]

 図4_7と図4_9をもう一度見てください。プログラムは最初のステートメントから順番に実行されていることがおわかりいだけると思います。コンピュータのプログラムは基本的には体育祭や演奏会のプログラムと同じです。図4-12は演奏会のプログラムの例です(しつこいようですが筆者の本業はピアノの先生です)。演奏会では普通、会場入口でお客様に差し上げたプログラムのとおりに最後まで演奏されます。この場合ならベートーヴェン、ショパン、ドビュッシーの順に演奏されて終わりです(アンコールで何かもう1曲演奏されることはありますが)。よほどの事態が発生しない限り、ベートーヴェンとショパンの演奏順が入れ替わったり、ドビュッシーまで終わったところで、もう一度ベートーヴェンに戻って最初から、ということは起こりません。コンピュータのプログラムも同じで、通常は最初のステートメントから終わりに向かって順番に実行されてゆきます。このような処理を順次処理といいます。コンピュータのプログラムは同じ処理を一定回数繰り返し実行したり、条件によって処理内容を変えたりすることができるのですが、その場合でも基本は順次処理です。

             ベートーヴェン ソナタ第14番「月光」
             ショパン    バラード第1番
             ドビュッシー  ベルガマスク組曲

           図4-12.演奏会のプログラムの例

 ここまでで覚えたプログラムの作成、保存、プログラムの修正、プログラムの実行で、Tiny BASICを使うにあたって必要最小限の操作はひととおり終わりました。Tiny BASICにはプログラム開発に便利な機能がまだまだたくさんありますが、当カテゴリーの実習ではこれだけ覚えておけば充分です。今後は「保存しましょう」「プログラムから開くを選び~」などは言いません。ここまでの操作に不安がある方は前章までを読み返し、操作に習熟しておいてください。

【Tiny BASICの文法(2)】ステートメント中の空白

 ステートメント中には適宜半角の空白を入れることができます。
 ステートメント中の連続する半角空白はストリング(次章でやります)以外、何文字分あっても1文字とみなされます。
 1つの命令(指示語)の途中に空白を入れることはできません。
     A=5
           A=5
     A = 5
 上の3つはどれも変数Aに5が代入されます(コンピュータは同じ動作をします)。
     S=A*H/2
     S               = A*H/         2
 上の2つはどちらも同じ計算をします(プログラムが見やすいかどうかの問題です)
指示語とオペランドの間には1文字分以上の半角空白を入れなくてはなりません。 
              PRINT S
              PRINT           S
 上の2つはどちらも同じ動作をしますが、次のようなのはだめです。
              PRINTS
              PR INT S
空白を入れる際、誤って全角の空白を入れないように気を付けてください。全角文字はストリングとして以外では使用できません。

【この章のまとめ】

一度作ったプログラムは修正・変更が可能である

修正したプログラムは再び保存する必要がある

INPUT命令
 キーボードから入力された内容を、後に続く変数に読み込む(代入する)

順次処理
 プログラムは通常、最初のステートメントから終わりに向かって順番に実行される

【演習2】キーボードからたて、よこの長さを入力し長方形の面積を求めるプログラムを作りなさい

【第3章】プログラミグはじめの一歩(順次処理)

[プログラムの作成]

 では、いよいよプログラミングに入りましょう。コンピュータの世界でいうプログラムとは処理の手順です。ノンプロミングモードでは、変数に代入、計算、結果表示をワンステップずつ(OK表示になるごとに)実行しなくてはなりませんでしたが、これを自動化しちゃおう、という発想です。まずは昨日やった三角形の面積を求めたものを自動化(プログラム)にしてみましょう。


図3_1.編集画面を開く
図3-1.編集画面を開く

 プログラムを作成するには、編集画面を使います。Tiny BASICを起動したら編集画面側の左上にある「プログラム」をクリックします。するとメニューが表示されます。今は新しくプログラムを作るのですから、この中の「新規作成」をクリックします(図3-1)。すると図3-2のようなプログラム編集ウィンドウが開きます。このウィンドウ内にプログラムを書き込みます。
図3-2.プログラム編集ウィンドウ
図3-2.プログラム編集ウィンドウ

 最初は変数Aに底辺の長さ 10 を代入するのでしたね。ではプログラム編集ウィンドウに半角英数字で A=10 と入れて【ENTER】を押してください。あれっ?何も起こらないぞ、とあわてずに。ノンプログラミングモードでは一命令ごとに(【ENTER】を1回押すごとに)代入→計算→表示といった仕事が行われますが、プログラム編集画面に入れられた命令はすぐには実行されません。すべて入れ終わって「実行」という指示を出すまでは仕事の手順が記憶されるだけです(当カテゴリーではこれをプログラムモードとよぶことにします)。
 次は変数Hに高さの値6を代入しました。では H=6 と入れて【ENTER】を押してください。全く新規でプログラムを入れる場合は1行ごとに【ENTER】を押さないと次の行に改行しません。以下同様に、面積を計算して変数Sに代入、結果を表示するところまで入れてください(図3-3)。
 入れている途中で前に入れた行に間違いがあったりして修正したいときは、直したい箇所にカーソルをもっていって修正できます(Windowsのメモ帳やワープロソフトなどと同じです)
図3_3.プログラムをすべて入れ終わったところ
図3-3.プログラムをすべて入れ終わったところ

 最後に、ENDという一行がありますが、これは「プログラム実行終わり」という指示です。このプログラムのように実行される最後の命令が最後の行(図3_3の例なら PRINT S)である場合は、この END はなくても差支えないのですが、後の章で出てくるサブルーチンなどを使うときは、これがないとちょっと困ったことになります。ここで実行終わりという箇所には必要なくても必ず END を書くように習慣づけておいた方がいいでしょう.

[プログラムの保存]

 これでプログラムは入れ終わりました。よし、実行しよう!ちょっと待ったあ~!(なんだよ)作成したプログラムは必ず保存してから実行しましょう。どうしてかというと、もし作ったプログラムにミスがあって、コンピュータが暴走(ブワンブワンとエンジン音をたててコンピュータが走り出すわけではなく、誤動作でキーやマウスの入力を受け付けなくなること)してしまったら、強制的にシャットダウンするか少々乱暴ですが電源コードを引き抜くしか方法がなくなります。そうなると今作っていたプログラムはすべて消えてしまいます(最近のノートパソコンは強制シャットダウンしても今やっていた作業を保存してから電源が落ちるようになっているようですが、すべてのパソコンがそうなっているという保証はありません)。このサンプル程度の短いプログラムならもう一度作り直せばいいのですが、これがもし研究や仕事で使う500行にもおよぶ長いプログラムだったら・・・もう空を見上げて泣くしかありません。というわけで作ったプログラムは必ず保存してから実行、これは初心者のうちに習慣づけてください。

図3-4.プログラムの保存
図3-4.プログラムの保存


 保存の方法はWordやExcelを使っている方にはおなじみの方法です(図3-4)。編集画面左上の「プログラム」をクリックします。表示されたメニューから「名前をつけて保存」を選んでクリックします。すると図3-5のようになります。ここで上部の「保存する場所」は【第0章】でやったTBasic.exeを保存した場所と同じになっていると思います。当カテゴリーの実習ではこのままでいきます。別の場所にしたい方は変更してください。プログラム名はUntitled(タイトルなし)という名前になっています。このままでもいいという方はそのままにしておいてください。ふつうはもう少しプログラムの内容がわかる名前にするので、ここではex1(exsample1の意)としていますが、これでなくても何でもかまいません(ただしお使いのパソコンのOSの制約を受けます)。日本語(全角文字)を含んでもOKです(練習_1など)。 .tbtの部分は拡張子といい、変更・削除しても差支えないのですが、保存したプログラムを再利用するときに面倒なのでこのままにしておいた方がいいでしょう。
図3-5.名前を付けて保存
図3-5.名前を付けて保存


[プログラムの実行]

 プログラムの保存が完了したので、今作ったプログラムを実行(コンピュータに何かをさせることをコンピュータ屋さんはこのようにいいます)してみましょう。実行の方法はいくつかあるのですが、最も簡単なのは編集画面の上の方にある「即実行」です。これをクリックすると、実行画面に計算結果が表示されます(図3-6)。即実行をクリックした後はまったく手を触れずに計算結果の表示まで来ました。これがプログラムによる自動計算です。

図3-6.プログラムの実行
図3-6.プログラムの実行


【Tiny BASICの文法(1)】ステートメント

 ところで、前にもお話ししたとおり、これはTiny BASICというプログラミング言語を用いてのプログラムなわけですが、「言語」というくらいですから、それぞれのプログラミング言語には文法があります。これから少しずつ覚えていってください。文法といってもやれ三人称単数現在だ、関係代名詞だ、現在完了形だというわけではありませんのでご安心を。筆者に言わせてもらえればプログラミング言語の文法とは、文法というより書き方です。ここまでで説明してきた算術演算子や代入演算子、変数の使い方などもTiny BASICの文法です。

 プログラムの一文をステートメント(または「文」)といいます。ステートメントは多くの場合、

        命令語(指示語) オペランド(命令の内容)

です。たとえば print 3 + 5 は「3 + 5の計算結果を表示せよ」という命令になりますが、プログラミング言語では「表示せよ、 3 + 5 の計算結果を」と書くことになります。日本語ではなく英文法に使いものがあります。

[昔はよかったなぁ]

 当カテゴリーは1980年代頃、当時のパソコンでプログラミングをやっていた方に、あの頃のBASICとTiny Basic for Windowsがどのように違っているのかをお話することも目的としています。[昔はよかったなぁ]では本章中のサンプルプログラムを当時のBASIC(以下、昔のBASICといいます)で書くとどうなるかを示しながら、その違いをお話します。お若い方でも、昔のBASICがどういうものかを知りたいという方は、ぜひ読んでみてください。

図3_7.図3_3のプログラムを昔のBASICで書くと
図3-7.図3-3のプログラムを昔のBASICで書くと

 この章でやった三角形の面積を求めるプログラムを昔のBASICで書くと図3-7のようになります。昔のBASICでは、プログラム中のステートメントには実行の順番を支持する行番号が必要でした。今のTiny Basicでは必要なくなりましたが、昔のBASICと同じように付けることもできます(図3-8)。そして編集画面と実行画面の区別はなかったので、作ったプログラムの保存(SAVE)や実行(RUN)もプログラムを作成する画面からできました。ですからプログラム作成ツールとしては昔のBASICの方が取り扱いは楽なことは楽でした。ただ、プログラム作成・編集中にマウスが使えないなど、今のパソコンに慣れてしまうと「不便だなぁ」と感じる点も多々ありました。
図3_8.Tiny Basicで昔のBASIC風に書くと
図3_8.Tiny Basicで昔のBASIC風に書くと

 昔のBASICは今のWindowsパソコンには標準搭載されていません。でも「わしゃ、やっぱり昔がよかった」(実は筆者もそうだったりします)という方、「親父たちが歩いた道を辿ってみたい」というお若い方、ULprojectさんのサイト(下記リンク)から昔のBASICをダウンロード・インストールできます(Windowsパソコン用です。Macパソコン、スマフォ、タブレットでは使用できません)。

   N88-BASIC互換?VL,NL,XL,-BASIC for Windows(10など)
   http://nlbasic.amebaownd.com/

[この章のまとめ]

コンピュータのプログラムとは処理の手順である

作ったプログラムは実行する前に必ず保存する

プログラムの1行をステートメントという

ステートメトは多くの場合、命令語(指示語)+オペランド(命令の内容)である

【演習1】粗利益を計算し画面に表示するプログラムを作りなさい。粗利益とは売上単価×売上個数-仕入れ単価×売上個数のことです。たとえば1個150円で仕入れた品を1個200円で10個売れば、粗利益は500円になります。仕入単価、売上単価、売上個数、粗利益はすべて変数を用いること。

 ※当カテゴリーは2022年3月まで筆者が勤務していた富山大学の教養科目「コンピュータの話」でも使用しました。【演習】はその授業での課題です。受講生は理系・文系問いませんでしたので難易度は易しめにしてあります。もっと実用的なプログラムにしてみようと思われる方はぜひチャレンジしてみてください。

【第2章】変数を使う

 ノンプラグラムモードでの計算のやり方はおわかりいただけたでしょうか。このカテゴリーをご覧いただいているほとんどの方は「いいから早くプログラミグを教えてくれ」とお思いのことと思います。しかし、プログラムとは何ぞや、ということをご理解いただくためにはもう少しノンプログラミングモードで覚えていただきたいことがあります。今しばらくご辛抱ください(またかよ!)。

[変数の使い方]


 ではTiny BASICを起動してください。実行画面がOK表示になっていることを確認したら、A=10と入れて【ENTER】を押してください(Tiny BASICのノンプラグラミングモードでは何かを入力するときは最後に【ENTER】を押す必要があります)。【ENTER】を押しても今度は何も起こりませんね(図2-1)。


図2-1.変数に数値を記憶する
図2-1.変数に数値を記憶する

 ただ、コンピュータの中では「今入れた10という値が記憶された」ということが起こっています。コンピュータの内部動作は私たちの目には見えないだけのことです。そしてコンピュータの記憶装置(正しくは主記憶装置、後の章で詳細を説明します)は無限ではありませんがとてつもなく容量が大きいですから、今入れたデータが記憶装置のどこに入ったかをわかりやすいように「付箋」を貼っておきます。この例では付箋に相当するのが A です。この付箋のことをプログラミングの世界では変数とよびます。変数という言葉は元々数学で使われるものですね。数学では y=ax+b のx、yのように「ともなって変わる数」という意味ですが、コンピュータのプログラミングでは記憶場所という意味になることに注意してください。PRINT Aとやってみると今、変数 A に記憶した 10 という値が表示されました(図2-2)。
図2-2.変数に数値した数値
図2-2.変数に記憶した数値

 次に H=6としてください。同じように PRINT H で確かめると変数 H に6が記憶されたことがわかります。そうしたら今度は S=A*H/2とし、次に PRINT S としてみましょう。今度は30と表示されます(図2-3)。もうおわかりかと思いますが、これは底辺をA、高さをHとしたときの三角形の面積Sを求める計算です。
図2-3..変数を使った計算例
図2-3..変数を使った計算例

 変数を使ういちばん大きなメリットは一度記憶した変数の中味はずっと保存されるので(正確には次に何かプログラムを実行するまで)、ひとつのデータを何回も再利用するのがたいへん楽になることです(図2-4)。
図2_2.変数を使って記憶したデータは再利用がかんたんにできる
図2-4.変数を使って記憶したデータは再利用がかんたんにできる

[変数名]

 今日のサンプルでは変数の名前はすべて英字1文字になっていますが、Tiny BASICでは変数名は半角英数字と _ (アンダーバー)の組み合わせで30文字以内で自由に決められます。ただし先頭の1文字は必ず英字でなくてはなりません。また英字は大文字小文字を区別しません。たとえば変数TATEYAMASOBAWA_OISHIIとtateyamasobawa_oishiiは同じ変数として扱われます(筆者と同じ居住地以外の方にはわかりにくい例えで申し訳ありません^ ^;)。それから予約語は変数名としては使えません。予約語とはそのプログラミング言語が使っている命令や関数(後の章でやります)のことで、Tiny BASICならばたとえば PRINT という語は画面に表示せよという命令で使っていますから、 PRINT=5 のように変数名としては使えません。

[代入演算子]

 今日のサンプルでは がたくさん出てきました。=は数学では等号と呼ばれ「左辺と右辺が等しい」という意味で使われますが、プログラミングでは = は右辺の値を左辺に代入せよという命令になります(後に出てくる条件判定の場合のみ等号になります)。Tiny BASICに限らず、筆者が知る限り、ほとんどのプログラミング言語でそうなっています。なので代入演算子(代入命令)としての = を使うときは、右辺は計算式でよいのですが、左辺は必ず変数1個になります。数学のようにA+B=C+Dのような書き方はできません。
 ではひとつ、数学の先生に叱られてしまいそうな例を。=は代入演算子とします。

           a = 3 
          a = a + 1 

 プログラミングが初めての方はえっえっ?何これ?と思われたことでしょう。=を代入演算子として使う場合はこのような使い方ができます。ではこの結果、変数 a の中味(値)はいくつになっているでしょうか。代入演算子の意味は「右辺の値を左辺に代入せよ」でした。つまりこれは「今、変数 a に入っている値に 1 を加算し、その結果を a に戻せ(再び代入せよ)」ということになります(図2-5)。その結果、この場合 a の値は 4 となります。この考え方は実際のプログラミングではジャンジャンバリバリ(死滅語?)出てきます。

図2_5.代入演算子を使うと
図2-5.代入演算子を使うと


 いかがですか。文章での説明が長くなってしまいましたが、ここまでで、これからプログラミングに入るのに大切な基礎知識をお話したつもりです。これまでのところが今ひとつ理解できていないという方は、次に進む前に、もう一度、前章とこの章を復習してください。

【この章のまとめ】

データは変数に記憶できる

変数に記憶したデータは再利用できる

代入演算子としての = は右辺の値を左辺に代入せよという意味である

代入演算子としての = では左辺は必ず変数1個である

【第1章】ノンプラグラミングで四則演算

 ではこれから少しずつTiny BASICでのプログラミングを覚えてゆきましょう。まずTiny BASICを起動してください。起動したら実行画面を見てください。Tiny BASICのタイトルと今日の日付が表示された次の行に「OK」と表示されています。これは「次の命令を実行する準備が出来ました」という意味です。
 OK表示を確認したら、その下に半角英数字(英字は大文字でも小文字でも可)でprint 5+3 と入れてENTERキー(改行キーとかRETURNキーとよぶ機種もあります。以下【ENTER】といいます)を押します。するとその下の行に 5+3 の計算結果の 8が表示されて再びOK表示に戻ります(図1-1)。

図1_1.たし算をやってみる
図1-1.たし算をやってみる

 続けて PRINT 5-3 と入れて【ENTER】を押します。次の行に 5-3 の結果が表示されました。今度はちょっと文字を探すのが厄介ですが、半角英数字で PRINT 5*3 【ENTER】とやってみてください(*はアスタリスクとよばれます)。5×3 の結果の15が表示されます。最後に PRINT 5/3 【ENTER】としてみましょう(/はスラッシュとよばれます)。 5÷3 の計算結果の1.6666666666666667が表示されます。5÷3 は1.666666・・・と永遠に6が続くのですが、コンピュータの記憶容量は無限ではありませんから循環小数や無限小数はどこかで打ち切られます。つまりコンピュータでは分数は扱えません。Tiny BASICの場合、最後の桁が四捨五入になります。
 以下同様に PRINT 5^3 【ENTER】、PRINT 5¥3 【ENTER】、5 MOD 3(半角スペースを忘れないように)【ENTER】としてみてください。^は階乗で 5^3 は5の3乗の意味です。¥は小学校でやる割り算で商です。 MOD は余りです(図1-2)(*)。

(*)¥マークは半角で入れると、お使いのOSによっては \(バックスラッシュ)になる場合がありますが、意味は同じです。

図1_2.四則演算
図1-2.四則演算

 ここでPRINTはそのあとの内容を画面に表示せよ、という命令(仕事の指示)です。プリントといってもプリンタで印字するわけではありません。たとえば PRINT 3+4 は、3+4 の計算結果を表示せよということになります。

[計算式の書き方]

 1)四則演算に使用する記号は加算は+、減算は-ですが、乗算は×ではなく*、除算は÷ではなく/です。Tiny BASICに限らず多くのプログラミング言語ではそうなっています。 、
 2)加減乗除算と階乗が混在している場合の演算の優先順位は算数と同じでまず階乗が最初、次が乗除算、最後に加減算です。但し( )がある場合は( )内が先に計算されます。ここは算数と同じなのですが、Tiny BASICを含めて多くのプログラミング言語では{ }は計算式としては使えません。たとえば
     A-{B-(C-D)}
という式を書きたいときには
     A-(B-(C-D))
と書かなくてはなりません。複雑な計算式を書くときには( )の対に注意してください(図1-3)。

図1_3.( )を使った計算式の例
図1-3.( )を使った計算式の例

 3)乗算演算子の*は省略できません。たとえばA×Bの場合、数学ではABと書くことができますが、プログラミングではA*B と書かなくてはなりません。

 ここでやった実行画面に直接コンピュータへの指示を与える方法は電卓のような使い方であり、まだプログラムではありません。これはノンプログラミングモードと呼ばれる方法です。ノンプラミングモードではTiny BASICで使用できる命令すべてが使用できるわけではありませんが、それでもコンピュータプログラミングの基本的な考え方は学べます。

【この章のまとめ】

Tiny BASICで使用可能な算術演算子をまとめます。

Tinybasicの算術演算子

演算の優先順位
 1.階乗 2.乗除算 3.加減算 ただし( )内が最優先

PRINT命令
 あとに続く内容を画面に表示する。

- CafeLog -