相対的音感
2020.12.17

 この記事は富山大学人間発達科学部の学生の質問への答えとして書いたものです。



 ex.1の2つの音をピアノなどの楽器で演奏したものを聴き、鍵盤や奏者の手元を見ずにaがソ(G)、bがド#(C#)とわかるのを「絶対音感がある」といいます。
 それに対しex.2の2つの音を聞いて、cの音はdの音より高いということがわかるのを「相対音感がある」といいます。


 相対音感というと、もう少し意味が広くなります。ex.3の上段の2つの音ミとソはどちらもド・ミ・ソという和音の構成音ですが、ex.4で示すようにミ・ソ・シという和音の構成音でもあります。曲の途中でこの2つの音が出てきたとき、どちらの和音の構成音か、曲の調(key)や曲の流れからわかることです。



 今日私たちが学ぶ音楽理論の考え方の基礎になっているものは「機能和声学」とよばれといるものです。これは簡単にいうと、たとえば「ドという音にはその調の中でドの役割がある、レにはレの役割がある・・・シにはシの役割がある」という考え方です。同じド・ミ・ソという和音でもex.5のようにハ長調の中に出てくればI度の和音という「役割」、ex.6のようにト長調の中に出てくればIV度の和音という「役割」になります。

本当の意味での相対的音感とは音楽を聴いてこのレベルまでわかることをいうのですが、これには相当の音楽理論の知識、音楽的訓練を必要とします。

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