この曲は小学校学習指導要領音楽では第1学年の歌唱共通教材となっています。教科書の楽譜どおりに弾くと右手は休符の箇所での手のポジション移動、同じ音が続く箇所での指のチェンジ、左手は分散和音とアルペジオ、副次的な旋律を弾くなど、上級のピアノ曲演奏のためのテクニックにつながるものが多々含まれているので、ぜひマスターしたい1曲です。
教科書の楽譜は以下のようになっています(一部の指使いと赤い字の注釈番号は筆者が書き込みました)。
図10.かたつむり
[右手}
この曲の右手はいちばん低い音が中央のド、いちばん高い音がそれより1オクターヴ高いドです。白い鍵盤8つ分離れていますから、基礎練習でやったドが1の指、レが2の指・・・ソが5の指では指が足りなくなってしまいます。ここでの練習ポイントは2つ。ひとつは休符(音が出ていない時間)を使って手の位置を移動すること(*1、*3)、もうひとつは同じ音が続く箇所で指を交代すること(*2、右手には2か所あります)です。
(動画)http://piano.main.jp/movie/escalgo_RH.mp4
[左手}
左手はいちばん低い音からいちばん高い音までが白い鍵盤で11個分離れています。右手の練習でやった休符で手の位置を移動(*5、2か所あります)、同じ音の連続で指交代(*8)の他にも1と5の指を広げてオクターヴ離れた音を弾く(*4)、逆に手をすぼめて隣合った音を1つ飛びの指で弾く(*6)、1の指の上を他の指が超える(*7)が練習のポイントになります。
(動画)http://piano.main.jp/movie/escalgo_LH.mp4
完成するとこのようになります。
(動画)http://piano.main.jp/movie/escalgo.mp4
4.練習の心構え
(1)毎日練習すること
ピアノ(鍵盤楽器)の練習は鍵盤上で指をいかに正確に素早く動かせるかということがポイントになります。それはスポーツ選手のトレーニングに近いものがあります。数回の練習である程度弾けるようになってもその後、2日、3日と練習を休んでしまうとせっかく弾けるようになったものがすぐひけなくなります。
毎日練習することが大切です。1日5分ずつでもいいので毎日練習してください。1週間に1日集中して3時間練習するより毎日5分ずつ練習する方がはるかに効果が上がります.
(2)よく聴くこと
ピアノを弾くということは音楽の演奏です。指を素早く正確に動かせるように訓練することはもちろん大切ですが、練習時には自分が出している音をよく聴くことが大切です。音を間違っていないか、音がかすれてないか、自分で思ったような音になっているか、上級レベルになれば自分の表現したい音楽になっているかなど、練習中の音をよく聴いてください。
(3)楽譜を見て練習すること
授業(レッスン)時、あるいは練習時に楽譜を見ずに弾く方をよく見かけます。たしかにプロのピアニストがリサイタルなどでは暗譜(楽譜を見ずに)で演奏するのが普通ですが、これは演奏する曲を完全に自分の音楽にしているので出来ることです(それにはピアノ練習以外にも相当量の音楽的訓練を必要とします)。そのようなプロの演奏家でも練習中は必ず楽譜を見ます。練習時、授業(レッスン)時は必ず楽譜を見てください。
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5.指を動かす練習
では、鍵盤の上で指を動かす練習をしましょう。
図6.指を動かす練習
[練習上の注意]ピアノに触れるのが全く初めてという方
(1)最初は右手・左手別々に練習すること。指がうまく動かせないときはテンポゆっくりで
(2)片手ずつの練習が充分できたら両手で練習する
(3)肩から上腕に無駄な力が入らないように(指先には必要最小限の力は必要です)
コツは筆記用具を普通に持つ感じ
(4)無駄な動きはしないように注意(指を高く上げ過ぎないように)
[図6の1の練習の動画]
右手 http://piano.main.jp/movie/ex1_r.mp4
左手 http://piano.main.jp/movie/ex1_l.mp4
両手 http://piano.main.jp/movie/ex1.mp4
以下は好ましくない弾き方です。このようになっていたら注意しましょう。
(i)無駄な力が入り過ぎていると
http://piano.main.jp/movie/ex1_01.mp4
(ii)無駄な動きが多いと
http://piano.main.jp/movie/ex1_02.mp4
[図6の2~4の動画]
以下は完成形(両手)のみ示しますが、練習は↑で示したように片手ずつの練習から行ないます。
2. http://piano.main.jp/movie/ex2.mp4
3. http://piano.main.jp/movie/ex3.mp4
4. http://piano.main.jp/movie/ex4.mp4
ここまでの練習が充分にできたら、少し変化のある旋律(メロディー)を弾いてみましょう。
図7.バイエルピアノ教則本より
[動画]
右手 http://piano.main.jp/movie/Beyer_44d_1_RH.mp4
左手 http://piano.main.jp/movie/Beyer_44d_2_LH.mp4
両手 http://piano.main.jp/movie/Beyer_44d_3_BH.mp4
1.楽器に向かう姿勢
ピアノを含む楽器の練習はスポーツと共通するものがあります。テニスやゴルフでも基本の姿勢(フォーム)が大切なように、ピアノもまた楽器に向かう姿勢や位置(ポジション)が大切です。
図1.適切な姿勢
ピアノ用の椅子は高さが調節できるのが普通です。鍵盤に手を乗せた時、手首から肘がほぼ水平になるくらいの高さに合わせるのが適切な高さです。
椅子の位置は手首から肘が極端に収縮したり伸び切ったりすることがないくらいの位置が適切な位置です。(図1)
図2.適切ではない姿勢
図2左は楽器に近過ぎです。これでは手首から肘にかけての自由な動きが阻止されてしまいます。かといって図2右のように離れすぎてしまうと、鍵盤に手のコントロールが伝わりにくくなってしまいます。
2.指番号
図3.指番号
ピアノの練習で使用する指番号は図3のように両手とも親指が1、人差し指が2、以下順に3、4、小指が5となっています。
ピアノの楽譜は通常五線2段で1段として書かれています。原則として上段が右手、下段が左手です(上級レベルの曲になるとその限りではなくなります)。音符に付されている数字は通常では指番号を表します。指番号はあくまで弾きやすい指使いを示すもので、必ずしもこのとおりにしなくてはならない、というものではありません(図4)。
図4.ピアノの楽譜の見方
3.鍵盤と音符
ピアノの鍵盤と音符の関係は図5のようになっています。
図5.鍵盤と音符