【第1章】ノンプラグラミングで四則演算
2020.03.17
 ではこれから少しずつTiny BASICでのプログラミングを覚えてゆきましょう。まずTiny BASICを起動してください。起動したら実行画面を見てください。Tiny BASICのタイトルと今日の日付が表示された次の行に「OK」と表示されています。これは「次の命令を実行する準備が出来ました」という意味です。
 OK表示を確認したら、その下に半角英数字(英字は大文字でも小文字でも可)でprint 5+3 と入れてENTERキー(改行キーとかRETURNキーとよぶ機種もあります。以下【ENTER】といいます)を押します。するとその下の行に 5+3 の計算結果の 8が表示されて再びOK表示に戻ります(図1_1)。



図1_1.たし算をやってみる


 続けて PRINT 5-3 と入れて【ENTER】を押します。次の行に 5-3 の結果が表示されました。今度はちょっと文字を探すのが厄介ですが、半角英数字で PRINT 5*3 【ENTER】とやってみてください(*はアスタリスクとよばれます)。5×3 の結果の15が表示されます。最後に PRINT 5/3 【ENTER】としてみましょう(/はスラッシュとよばれます)。 5÷3 の計算結果の1.6666666666666667が表示されます。5÷3 は1.666666・・・と永遠に6が続くのですが、コンピュータの記憶容量は無限ではありませんから循環小数や無限小数はどこかで打ち切られます。つまりコンピュータでは分数は扱えません。。Tiny BASICの場合、最後の桁が四捨五入になります。
以下同様に PRINT 5^3 【ENTER】、PRINT 5¥3 【ENTER】、5 MOD 3(半角スペースを忘れないように)【ENTER】としてみてください。^は階乗で 5^3 は5の3乗の意味です。¥は小学校でやる割り算で商です。 MOD は余りです(図1_2)。


(注)¥マークは半角で入れると、お使いのOSによっては \(バックスラッシュ)になる場合がありますが、意味は同じです。


図1_2.四則演算

 ここでprintはそのあとの内容を画面に表示せよ、という命令です。プリントといってもプリンタで印字するわけではありません。たとえば print 3+4 は、3+4 の計算結果を表示せよということになります。

[計算式の書き方]

 1)四則演算に使用する記号は加算は+、減算は-ですが、乗算は×ではなく*、除算は÷ではなく/です。Tiny BASICに限らず多くのプログラミング言語ではそうなっています。 、
 2)加減乗除算と階乗が混在している場合の演算の優先順位は算数と同じでまず階乗が最初、次が乗除算、最後に加減算です。但し( )がある場合は( )内が先に計算されます。ここは算数と同じなのですが、Tiny BASICを含めて多くのプログラミング言語では{ }は計算式としては使えません。たとえば
     A-{B-(C-D)}
という式を書きたいときには
     A-(B-(C-D))
と書かなくてはなりません。複雑な計算式を書くときには( )の対に注意してください(図1_3)。



図1_3.( )を使った計算式の例

 3)乗算演算子の*は省略できません。たとえばA×Bの場合、数学ではABと書くことができますが、プログラミングではA*B と書かなくてはなりません。


 ここでやった実行画面に直接コンピュータへの指示を与える方法は電卓のような使い方であり、まだプログラムではありません。一般的にはダイレクトモードと呼ばれる方法ですが、当カテゴリーではTiny BASICをこのように使うことをノンプログラミングモードとよぶことにします。ノンプラミングモードではTiny BASICで使用できる命令すべてが使用できるわけではありませんが、それでもコンピュータプログラミングの基本的な考え方は学べます。

[この章のまとめ]
Tiny BASICで使用可能な算術演算子をまとめます。




演算の優先順位
 1.階乗 2.乗除算 3.加減算 ただし( )内が最優先


print命令
 あとに続く内容を画面に表示する。
【第0章】実習の準備
2020.03.16

[実習で準備するもの]


 これから実際にTiny BASICを使いながらプログラミングの初歩を勉強してゆくのですが、それにはお使いのパソコンでTiny BASICを使えるようにしなくてはなりません。パソコンはWindowsパソコンが必要になります。ご自分のパソコンをお持ちの方、家族と共有だけどある程度自分の好きなように使える、という方はそれを使っていただいてけっこうです。尚、ここでは会社や学校、ネットカフェなどで不特定多数の方と共同使用するパソコンをお使いの方のことも考えた方法をとります。そのためにUSBメモリかSDカードなどの外部ストレージを使用しますので用意しておいてください。何も新しく買う必要はありません。当カテゴリーでの実習に必要な容量は高々5000KBほどです。別のことに使ったけどまだ空き容量があるUSBメモリがあればそれを再利用してください。

[Tiny BASICのダウンロード]


 Tiny BASICはフリーウェア(無料で使えるソフトウェア)であり、現在は制作者takeuchi氏のサイトの他、窓の杜やVectorなどからも入手可能ですが、ここでは制作者のサイトからダウンロードすることにします。
 1)不特定多数の方との共用パソコンをお使いの方(以下共用パソコンユーザーといいます)は、最初にUSBメモリ等の外部ストージを差し込んでください。
 2)準備が出来たらTiny BASIC for Windowsのサイト(←ここをクリック)を開きます。メニューの中に「ダウンロード」というのがありますから、クリックしてください(図0_1)。



図0_1.Tiny BASIC for Windowsのサイト


 すると次にダウンロードメニュー(図0_2)が現れます。当カテゴリーの実習の範囲なら「Tiny BASIC本体のみ」で充分なのでこれの最新版を選んでダウンロードするのですが、ご自分のパソコンを使われる方と共用パソコンユーザーの方は、この先少し手順が異なりますのでご注意ください。



図0_2.ダウンロードメニュー

 3)ご自分のパソコンの方はTBasic151.zip(2021/03/31現在これが最新版です)を右クリックします。すると図0_3のようなポップアップメニューが表示されるので、「名前を付けてリンク先を保存」をクリックします。

図0_3.名前を付けてリンク先を保存を選ぶ

 そうすると図0_4のような画面になるので、ここで共用パソコンをお使いの方は差し込んだ外部ストレージを、ご自分のパソコンをお使いの方は任意のフォルダ(ドキュメントがいいでしょう)を選んで右下の「保存」をクリックします。

図0_4.外部ストレージまたは任意のフォルダにダウンロード

 これでTiny BASICがダウンロードできました。図0-5のようになっていることを確認してください。ここでダウンロードしたファイル名がtbw151set.zipになっていますが、この~.zipというファイルはいくつかのファイルをサイズを圧縮して1袋に詰め込んだものと考えてください。このままではTiny BASICはまだ使えません。このファイルを解凍する必要があります。よし、パソコンを電子レンジに入れてっと・・・違います!(大汗)。解凍とは圧縮されているファイルを元に戻すことです。Windows10には標準で.zipファイルを解凍する機能がありますが他のバージョンをお使いの方は別にWinZipなどのファイル解凍ソフトを用意してください。

図0-5.ダウンロードが完了した状態

 ここでどちらの場合もtbw151set.zipという部分をダブルクリックすると圧縮ファイルが解凍されの中味が表示され、図0_6.のようにTBasicというフォルダが表示されます。実はこの中にTBasic.exeというファイルがあり、これをダブルクリックすればTiny BASIC for Windowsは起動します。ただ、Windowsを熟知されている方はそれでもいいのですが、ファイルパス等の知識があいまいな方は、このままだとこれからのプログラミング実習でいろいろ困難な場面が発生しますので、実習に都合のいいようにしておきましょう。一刻も早くプログラミング実習に入りたいという方もいらっしゃると思いますが、ゴールは目の前です。もう少しだけご辛抱ください。

図0_6.実習用フォルダを作る

 図0_6のTBasicというフォルダを、ご自分のパソコンをお使いの方は、ドキュメント(マイドキュメント)フォルダの中に、共用パソコンをお使いの方はUSBメモリなどの外部ストレージにコピーしましょう(図0_7)。


図0-7.TBasicフォルダをコピーする

コピーされたTBasicというフォルダをダブルクリックします。このフォルダの中にTBasic.exeというファイルがあります(図0_8)。これがTiny BASIC for Windows本体です。これをダブルクリックすれば起動します。


図0_8.Tiny BASIC for Windowsの準備完了

 では、ちゃんと起動できるかどうか確認してみましょう。今コピーが完了したTBasic.exeをダブルクリックします。図0_9のような画面が表示されることがありますが、この場合「詳細情報」をクリックします。すると図0_10の画面になりますから、ここで「実行」をクリックします。

図0_9.提供元が不明なソフト(アプリ)が不明な場合の警告


図0_10.実行をクリック


 この警告は、インターネット上に公開されているソフト(アプリ)でリリース時に制作者の名前が明かされていない場合に表示されます。このTiny BASIC for Windowsについては実行してもこれが原因の不具合は発生しないので(筆者確認)、そのまま実行してください。

図0_11.Tiny BASIC fot Windows起動直後

 起動すると図0-11のような画面になります。ここで右の画面(背景が白い方)を編集画面といいます。プログラムの作成や修正などの編集を行います。左の画面(背景が黒い方)を実行画面といいます。編集したプログラムを実行してみた結果が表示されます。
 起動が確認できたら終了しましょう。終了するときは編集画面右上の×をクリックするか編集画面左上の方にある「プログラム」をクリックし、表示されるメニューから「終了」をクリックします。

はじめに
2020.03.15
[ご注意ください]
 このカテゴリーは、Tiny BASIC for Windows(takeuchi氏制作)を使ってコンピュータのプログラミングをやってみましょう、という趣旨のサイトです。主として
(1)Word、Excel等でパソコンはある程度使っているけど、自分でプログラムを作ったことはない
(2)小学校でプログラミング教育を担当することになったけどプログラミングって何をどう考えたらよいのかわからない
(3)昔、BASICでプログラムを作っていたが、最近のBASICはやったことがない
という方のために立ち上げました。
 申し訳ありませんが、パソコンに触れるのが全く初めてという方(電源ってどうやって入れるの?、キー操作がわからない)は対象にしていません。そういう場合は、最初にお使いになるパソコンの取り扱い説明書等で確認しておいてください。
最新のプログラミング言語をマスターすることは目的としていませんのでご了承ください。
 ページ中のサンプルはWindows10パソコンにインストールしたTiny BASIC for Windowsで作成したものです。Windowsの他のバージョンをお使いの方は、多少表示が異なる部分があることをお含みおきください。


 当カテゴリーはプログラミングを通して、コンピュータのことをもっと知ろう、という方々も対象としています。筆者が勤務する富山大学人間発達科学部の学生で教養科目の「コンピュータの話」「情報処理」などをすでに履修した方にとっては、これらの授業で学んだことと重複する部分もありますが、当カテゴリーの趣旨をご理解ください。

[BASIC言語]


 コンピュータの中味は膨大な数の電気スイッチです。なので本来コンピュータに何か仕事をさせるには、電気のON/OFFを0と1に置き換えたもの(機械語)で指示を与えなくてはなりません。しかし下のような機械語プログラムはコンピュータには理解できても、私たちがこれをわかるようになるためには、使うコンピュータの内部構造についてかなり専門的な知識が必要な上にこの方法でプログラムを作るには膨大な時間がかかります。


     00111000
     00100111
     00011011

     機械語によるプログラムのイメージ


 コンピュータが電子工学の専門家や数学者によってのみ使われていた時代ならともかく、1946年に世界最初の電子計算機ENIACが誕生してわずか10年後には、コンピュータの専門家でなくてもプログラミングができるようなツールが求められるようになりました。こうして生まれたのがプログラミング言語(人間にわかりやすい言葉で書かれたプログラムを機械語に変換するもの)です。科学技術計算向けのFORTRAN、事務処理向けのCOBOLが1950年代半ばに次々と発表され、1964年にはアメリカのダートマス大学で、数学者・教育者のジョン・ケメニー(John G. Kemeny)とトーマス・カーツ(Thomas E. Kurtz)により文系の学生でも比較的に容易にプログラミングができる言語が発表されました。その言語はBeginner's All-purpose Symbolic Instruction Code(初心者向け汎用記号命令コード)という名称で、頭文字をとってBASIC言語(当カテゴリーでは以下、BASICと略記)と呼ばれるようになりました。 BASICはその後、1970年代後半には、パソコン(当時はマイコンといいました)に標準で搭載されるプログラミング言語としてそのユーザーを増やしてゆきましたが、あくまでゲームプログラムなどホビー用としての需要が高く、これで研究用・実務用のプログラムが作成されることはあまりありませんでした。
 しかし2000年以後にアメリカのマイクロソフト社がVisual BASICを発表すると様相が一変しました。Visual BASICはそれまでのBASICでは出来なかった構造化プログラミングを可能にし、またWindowsフォームが簡単に扱えるという特徴があり、実務プログラムの作成にも充分耐えられるものでした(現在のバージョンはVisual BASIC 2019、2020/03/22現在)。そして最近、BASICが再び入門用プログラミング言語として脚光を浴びるようになってきました。


[当カテゴリーで用いるTiny BASIC for Windowsについて]

 「Tiny BASIC」という名前を聞いて「懐かしい」と思われた方は、たぶん私と同世代以上で、昭和55~60年頃にご自分でゲームプログラムなどを作ったことのある方でしょう。これは元々はその頃発売されたパソコンに搭載されていたBASICの総称です。その後に標準搭載になったマイクロソフト系のBASICに比べて使える命令や関数が少なかったり変数名や配列名などに制限があったりしたもののプログラミングに必要最小限の機能は備わっていたため、当時はこれでプログラミングを勉強したユーザーも多かったものでした。
 これから使おうとしている「Tiny BASIC for Windows」は、現在のWindowsパソコンで使えるBASICのひとつです。「Tiny BASIC」という名前になっていますが、昔のTiny BASICとは比較にならないほど機能が充実している上に、昔のBASICでは困難だった「構造化プログラミング」も可能になり、かつマイクロソフトのVisual BASICとの互換性も高いものです。
 ですから、昔Tiny BASICをおやりになったことがある方は、名前は同じでも全く違うBASICとお考えいただいた方がよろしいかと思います。尚、当カテゴリーで以後「Tiny BASIC」といった場合、とくにことわりがない限り「Tiny BASIC for Windows」のこととします。
 また当カテゴリーは、学校で「プログラミングの授業をやらなくてはならなくなった。でも自分でコンピュータのプログラムなんて作ったことないし、プログラミング的思考なんて言われてもなんのことかわからない。何とかひととおりプログラミングをやってみなきゃ。期間は1週間しかない」という先生方のことも考えて作りました。したがってTiny BASICのすべての機能についてお話するわけではありません。Tiny BASICは制作者のtakeuchiさんが、完全なマニュアルと入門書を公開されています。「急いではいないのでコンピュータのプログラミングを初歩から上級レベルまでがっちり勉強したい」という方はそちらをご覧ください。

Tiny Basic for Windows home page
http://www.tbasic.org/

 また当カテゴリーの記事は筆者が本業(あくまでピアノの先生です。「その顔でかよ!」と突っ込まれそうですが)の合間を見つけて書いています。1日1記事を目標にしたいとは思いますが、そうはいかない時もあります。全部書き上がるのは2021年のGWくらいになるかもしれないことをお含みおきいただけますと幸いです(冷汗)。

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