富山地方鉄道市内軌道線南北直通開始
2020.03.29

 2020年3月21日より、富山地方鉄道市内軌道線南北直通運転が開始された。これに伴い、富山ライトレールと富山地方鉄道が合併したため、富山~岩瀬浜間は何十年の時を経て、富山地鉄に帰ってきた。富山駅~岩瀬浜は富山港線の名称も復活した。



左:富山駅市内軌道線ホーム(南側) 右:富山駅市内軌道線ホーム(北側)



 南北直通で運転系統が大きく変わったのは岩瀬浜発の電車はすべて富山市中心部(南富山駅前、グランドプラザ前、富山大学前)に乗り入れること。富山ライトレール時代の富山駅北どまりがなくなった。



左:環状線を走るTLR0600形(ポートラム) 右:岩瀬浜駅まで乗り入れるT100形
 

 また合併の際、(旧)富山ライトレールのTLR0600形電車はすべて地鉄が引き継いだ(7色の塗色とPORTRAMのロゴはそのまま)のと、地鉄のデ9000形、T100形は富山港線にも入るので、富山駅でポートラムの電車が来たから岩瀬浜行きだと思って乗ったら、富山大学前に連れて行かれた、という乗り間違いに注意を要する。そのせいかどうか、直通開始から1週間経った今も富山駅の市内軌道線のりばには案内係が数名配置されている。
尚、旧来からあるデ7000形とデ8000形は富山港線には乗り入れない。



左:デ7000形 右:デ8000形


 春休み中最後の日曜日、この5系統(岩瀬浜~富山大学前)を始発から終点まで乗り通してみた。岩瀬浜発11:46、富山港線内は単線のため、途中、荻浦小学校前(旧大広田)、城川原、淡島、奥田中学校前に交換設備がある。乗り入れ電車の本数が増えたためか、以前は平日日中、休日は城川原と奥中前でしか交換がなかったのが、今回、荻浦小前でも交換があった。乗った電車はT100形(通称サントラム)だった。この電車は今まで南富山~富山駅~大学前でしか乗ったことも見たこともなかった。この区間は全線併用軌道なのでスビードは出しても30km/hくらい、のんびりのんびり走るチンチン電車という感じだったのが富山港線(ほとんどが鉄道線)ではガチで走る。いやはや、こんなスピードが出る車両だったのか!



↑画像をクリックすると動画で見られます


 富山大学前(旧大学前)着11:23、岩瀬浜からの所要時間は約40分。子供やお年寄りは全区間乗るなら、乗車前にトイレは済ませておいた方がいいかもしれない。
 ちょっと研究室に寄って、今度は富山大学前から丸の内まで乗車、ここで環状線廻りの岩瀬浜行きに乗車、岩瀬浜まで、乗った電車はTLR0600形、残念ながら赤ではなかった。富山ライトレールが開業した当時、沿線の高校の女子生徒の間で「赤ポートラムに乗れた日に告白すると両想いになれる」というのがあった。学校によりいろいろなバリエーションがあったようだ。今日は6系統の運用に赤ポートラムが入っているのは、来るときに確認しているが、まぁ、今さら両想いになりたい相手などいないので、来た電車に乗った。

 ところで、この6系統は岩瀬浜~富山駅~環状線~富山駅~岩瀬浜という運転である。環状線は丸の内からはグランドプラザ前~荒町~富山駅という一方向しか走らない。するとこの電車は再び富山港線に入るとき編成が逆になる?(鉄道に詳しくない方のために解説すると、鉄道は車両の編成が本来と逆の列車を走らせると信号など安全運転の設備が正しく作動しなくなるか破損してしまう)。まさか鉄道線の中をATS切って走るの?おっかねぇ~。もしかして電鉄富山駅エスタ前出てすぐのところに今でも残っている旧線(上図赤で示した区間)を使って方向変換するの?結果、富山駅から先、逆向きのまま岩瀬浜まで走りました。終点に着いて、運転士さんにきいてみたところ、「逆向きでも問題なく走れるように出来ている」とのことでした。よく考えるとTLR0600、デ9000は見た目が2両編成(T100だと3両編成)に見えますが、あれは1両の電車が真ん中でグニャグニャ動く構造なだけで、正確には単行なんですね。そりゃ、信号機から見れば1両の電車が行ったり来たりするだけなわけだ。と納得したところで帰路につきました(車は岩瀬浜駅のパークアンドライド駐車場に停めていました)。



 
【第9章】繰り返し処理(2)
2020.03.28

[回数が決まっていない繰り返し]


第7~8章でやった繰り返し処理はループの回数が決まっていました(5回の例で説明しました)。これがもし回数が増えたらどうしましょうか。たとえばテストを受けた児童の人数が10人、20人・・・100人と増えたら?この場合は

FOR ループ変数=初期値 TO 終端値
の終端値を変えれば済むことです。では全国規模の模試のように受験者が何千人、何万人規模で、何人いるか試験が終わって答案を回収するまでわからないような場合はどうしたらよいでしょう。結論を先に言いますと、FOR ~ NEXT ループは不定回の繰り返し処理にはあまり向きません。では、次のプログラムを見てください。
  SEIKAI$="東京"
  ANS$=""
  WHILE ANS$<>SEIKAI$
     INPUT "日本の主都を漢字で書くと";ANS$
  WEND
  END

 まず、3行目のWHILEなんちゃらと5行目のWENDから説明します。WHILEは「~の間」という意味ですね。何となく想像つくと思いますが、これは「~である間、以下の処理を繰り返せ」という意味です。「どこまでを」を指示しているのが WEND です。このWHILE ~ WENDもFOR ~ NEXTと同じくプログラムの実行順序をコントロールする制御文です。WHILEの後ろに来るのは繰り返し実行条件です。ここで<>というのは≠の意味です(比較演算子と呼ばれるもののひとつです)。つまりこの3行目は「変数ANS$の内容が変数SEIKAI$の内容と等しくない間,以下の処理を実行せよ」という意味になります。
 Tiny BASICだけでなくほとんどのプログラミング言語では≠が使えません。多くのBASICでは<>、サーバープログラム向きのperlでは!=、昔懐かしいFORTRANでは.NE.などとなっています。


図9_1.クイズのプログラム実行結果

 このプログラムを実行すると図9_1のようになります。問題文はINPUTに続くストリングで表示されます。不正解だともう一度答えの入力に戻り、正解が出るとWENDの次に進みます。答えの入力に繰り返す回数は決まっていません。正解するまで時間無制限のデスマッチです。このプログラムではWENDの次には何もありませんから、正解が出ればこれで実行終了です。このように繰り返し回数が決まっていないループでは FOR ~ NEXT制御文より
WHILE~WEND制御文の方が適していることがわかります。

[WHILE ~ WEND 制御文の文法と使用上の注意]

WHILE文の書き方をまとめると次のようになります。
 WHILE 条件式
   繰り返して行う処理
 WEND

WHILEとWENDは必ず対になっていなくてはなりません。
WHILEの後ろに書かれる条件式は、繰り返し(ループ)に入るための条件です。繰り返し処理にWHILE ~ WEND を使う場合、繰り返しを終了する条件とは反対になります。
上の例なら、入力内容が正解でなければループに入れ(終了条件からみれば、入力内容が正解だったらループを抜けよ)ということになります。プログラミングの際に注意を要するところです。筆者はプログラム初心者だった頃、これがよくわかっていなくて1本のプログラムのデバッグで徹夜したことがあります。

[条件式と比較演算子]

 条件式は繰り返し処理の他、条件によって処理内容を選ぶ選択処理でも出てくるものですから、ここで書き方と意味をしっかり覚えましょう。条件式の書き方は

式1 比較演算子 式2

となります。式?と思われた方、プログラミングの世界では変数1個、数値1つ、ストリング1つでも式であることを思い出してください。条件式は2つの式を演算子で結んだ形で書かれます。このときに使われる演算子を比較演算子といいます。Tiny BASICで使える比較演算子は次の通りです(下の表では見やすくするためにすべて全角で書きましたが、実際にプログラム中で使うときには半角です)

図9_2.Tiny BASICで使用できる比較演算子

 = はここまでずっと代入演算子として使われてきました。代入演算子としての = は「右辺の値を左辺に代入する」でしたから、左辺は変数1つに限定されました。A=5 のような書き方はOKですが、5=Aのような書き方はだめでした。条件式としての = は数学の等号と同じ意味なので、たとえば 5+3=A といった書き方ができます。

  以下の2節(【この章のまとめ】の手前まで)は、先をお急ぎの方(とにかくプログラミングをひととおり覚えたい方)は今は飛ばしていただいてもかまいません(以後の実習には支障ありません)。お時間に余裕が出来たら戻ってきてください。

[式の値と論理値]

 今まであまり意識してきませんでしたが、プログラミング言語では式は何らかの値を持ちます。まず簡単なものから。
  5+3
このような算術式なら、この式の値は計算結果です。この例なら8です。
  A=5+3
は、右辺の式の値(8)を左辺(変数A)に代入するということです。では、たった今覚えた条件式の場合、式の値はどうなるかというと、条件が成立したときは真(true)、成立しないときは偽(false)となります。上のプログラムでは、答えに"東京"が入力されると、SEIKAI$=ANS$は真、SEIKAI$<>ANS$は偽(図9_3)となり、ループを抜けるというわけです。WHILE ~ WENDでループを作るときは「繰り返し終了条件が偽である間、以下の処理を繰り返せ」ということになるのでプログラムの書き方としては図9_4のようになります。この真(true)と偽(false)のことをboolean(ブーリアン)値または論理値といいます。


図9_3.終了条件からみた場合


図9_4.繰り返し条件からみた場合


[文字コード]

 このサンプルプログラムでは
  SEIKAI$="東京"
  ANS$=""
  WHILE ANS$<>SEIKAI$
ですから、2つのストリングが等しいか等しくないかを判定していることになります。数値ではない文字が等しいかどうか、どうやって判定するのかという話です。
 コンピュータには0と1の2進数しかわからない、という話をしましたが、これはプログラムだけでなく、データも同じです。たとえば8という数を8桁の2進数で表すと、00001000となります。記憶するときにもこの2進数で記憶されます。では文字の記憶はどうするのでしょう。文字もやはり数値に直して記憶されます。文字を数値に直したものを文字コードといいます。ストリングどうしが等しいか等しくないかを判定するのはこの文字コード(数値)が等しいか等しくないかを判定しているのです。
 何の文字をいくつにするのかは、いろいろな規格があるのですが、現在パソコンで広く使われているものはアスキーコードとよばれる規格です。アスキーコードでは半角の"A"は65(10進)、半角の"a"は97(10進)としています。図9_5は半角A~Z、a~zのアスキーコードを示したものです。この表では文字コードは10進で示してあります。


図9_5.アルファベット26文字のアスキーコード


[この章のまとめ]

不定回の繰り返し処理では、WHILE ~ WEND制御文を使う。

WHILE文の書き方は

WHILE 繰り返し実行条件


繰り返し実行条件が成立する時は繰り返し終了条件は成立しない。繰り返し終了条件が成立するときは繰り返し実行条件は成立しない。

条件式の書き方は

式1 比較演算子 式2


比較演算子としての=は代入命令ではなく、数学の等号と同じ意味を持つ。

[演習5]

 WHILE ~ WEND制御文を使って、クイズの問題を作りなさい。答えはキーボードから入力するものとします。問題文はPRINT命令で実行画面に表示/INPUT ストリングで入力窓に表示、どちらでもけっこうです。正解ではなかったら「もう一度!」と表示、正解だったら「正解です」と正解するまでにかかった回数を表示して終わるようにすること。問題が思いつかない人は下記の問題例を使ってください。( )内が正解です。
(問題例)
  ベートーヴェンの交響曲第5番は通称何と呼ばれていますか(運命)
  ポークは豚、ビーフは牛、チキンは鶏、ではターキーは(七面鳥)
  明治5年、日本で最初に開通した鉄道は東京からどこまで(横浜) 

【第8章】平均を求めるプログラム(1)
2020.03.25
 前章で覚えた FOR ~ NEXT制御文を使うと、入力したデータの平均を求めるプログラムができます。この章からしばらくの間、テストの成績処理プログラム(学校のテストにはいい思い出がない方、少しの間がまんしてください)で合計、平均の求め方、ある条件により処理内容が変わる選択処理(次章以後)、変数の再利用以外のもっと高度なデータ再利用の方法を学びます。
 いよいよコンピュータならではのプログラミングに入ります。少しだけお楽しみに(^ ^;


[平均を求めるアルゴリズム]

アルゴリズムとは、問題解決の手順です。コンピュータのプログラムの世界では、主として計算、代入、条件判断をどのように組み合わせ、どのように繰り返せば目的の仕事ができるか、ということになります。前章までのサンプル程度のプログラムならパソコンの前に座ってチャッチャと作れますが、もう少し長い(規模の大きい)プログラムになると、最初にアルゴリズムを考えてから作り出さないと後で出来上がったプログラムを見直した時、作った本人でさえ何が何だかわからない、グチャグチャなプログラム(プロのプログラマが「スパゲッティプログラム」と呼んでいるヤツです)になってしまいます。ということでここから後はサンプルプログラムをお見せする前に、どのように考えてこのプログラムになったか、というアルゴリズムを示してゆくことにします。

 5人の児童のテストの点数が次のようになっているとします。
   75、80、60、35、95
 この平均点を求めます。この程度の計算なら皆さんなら5つの数字をながめて暗算で 69 点とわかると思います。ところがコンピュータに、5つの数字を見せて「平均は?」と言ってもわからないのです。コンピュータでいくつかの数の平均を求めるなら、1つ1つのデータを加算し、データ件数を数え、全部のデータを加算し終わったら、その値を数えたデータ件数で割る、という何とものんびりとした作業を行うことになります。



図8_1.5人の児童のテストの平均を求めるアルゴリズム

 このアルゴリズムをコンピュータで実現するのがコンピュータのプログラムであり、Tiny BASIC for Windowsはそのためのツールのひとつということになります。ではサンプルプログラムです。サンプルプログラムの各行に行番号が付いていますが、これは説明用のためのもので、実際にプログラムを作るときには省略してください。以後サンプルプログラムが10行以上になるときにはこのようにします。
  1: PRINT "テストの平均点"
  2: GOKEI=0
  3: NINZU=0
  4: FOR I=1 TO 5
  5: PRINT I;"番";
  6: INPUT "点数",TENSU
  7: GOKEI=GOKEI+TENSU
  8: NINZU=NINZU+1
  9: NEXT I
 10: HEIKIN=GOKEI/NINZU
 11: PRINT "平均点は";HEIKIN
 12: END

ここでは第2章でやった代入演算子が活躍します(忘れてしまった方は第2章図2_3をもう一度見てください)。
 まず、5~8行目(ループの中)を見てください。
 5行目は「これから入力するのは何番目のデータか」ということを表示しています。誤操作(誤入力)防止のためのものだす。
 6行目でキーボードから点数を入力し、変数TENSUに代入します。
 7行目は今入力した点数を、変数GOKEIに加算しています。
 8行目では入力した件数をカウントしています(この場合、テストを受けた人数)
 7、8行目の代入演算子=の使い方に着目してください。思い出しましたか。代入演算子の意味は「右辺の値を左辺に代入する」命令でしたね。
 この4行は点数の入力がすべて終わるまで繰り返しますから、4、9行目の FOR ~ NEXTで、(今回は)5回繰り返すようにしています。
 では、その他の箇所を見てみましょう。 
 1行目は「何のプログラムか」を表示しています。これはもちろん、誤操作(誤実行)防止策です。
 2行目、3行目はそれぞれ点数の合計、データ件数をカウントする変数ですが、これは処理に先立ち、0にしておく必要があります。なぜかというと、Tiny BASIC for Windowsを始め、多くのBASICではプログラム実行スタート時にすべての数値変数は0、ストリング変数は""(Null、何も入っていない)にリセットされるのですが、プログラミング言語はすべてそうなっているとは限りません。最初にクリアしておかないと何が入っているかわからないという言語もあります。筆者が30年ほど前に使っていたFORTRAN、COBOLなどではそうでした。また今日では、Visual BASICなどのように、最初に使用宣言をしていない変数は使えない、というプログラミング言語もあります。
 合計や平均を求めるプログラムでは、データの合計、データ数カウントのための変数は、最初に0にしておく(ゼロクリア)することを習慣にしましょう。


図8_2.実行中(3番目のデータの入力待ち)

 図8_2はこのプログラムの実行中です。入力窓は省略します。実行画面には、これから何番目のデータを入れるのかが表示されています。該当データを入れると何番目という表示(INPUT命令の直前のPRINT命令で表示した内容)が消えてしまいますが、これはTiny BASIC for Windowsの仕様なのでどうにもなりません。今後のバージョンアップで改善されることを期待しています。

図8_3.実行結果(平均が計算され表示された)

 データをすべて入力すると平均が計算され表示されてプログラムを終わります(図8_3)

【この章のまとめ】

問題解決の手順のことをアルゴリズムという。

代入演算子=とFOR ~ NEXTループを組み合わせると、入力したデータの合計や平均を求めるプログラムができる。

データを加算する(合計)やデータ件数を数えるための変数は、ループに入る前にゼロクリアしておく

- CafeNote -